FM Acoustics FM255

剛柔併せ持つヨーロッパ文化から生まれたプロダクト。

FM Acoustics FM255、
というプリアンプ。

スイス製 FM Acoustics FM255
FM Acoustics FM255

こちらのサイトはごく私的なレビューです。FM ACOUSTICSというブランドには独特な匂いがあります。人によっては嫌いかもしれません。モデルによってはボリュームやスイッチがキラキラしているし。
たくさんのモデルの中で独特な存在感を放つのがFM Acoustics。電源ケーブルが直出しの軽いプリアンプなのに。しかも筐体はアルミ削り出しなどではありません。ですが、独特な存在感を醸しだす機器。

FM Acoustics FM255の毒と甘み。

昨年入荷したFM266はスタイリッシュなマフィアさながらに圧倒的なサウンドで、その場を制圧し統率し、FMアコースティクスのサウンドを展開しました。これはお聴きになったお客さんならどなたでも感じられたようでした。どんなに複雑に絡んだコードフローでも音がつぶれずに出てくる。オーディオに興味がない女性のお連れさまも、はっとした表情をされました。

今年前半に入荷したFM Acoustics FM255はFM266とは趣きがちがい溌剌とするサウンドが加味されたもの。JAZZやロックなどのアタック、電子楽器に対する振る舞いも鮮度感があった記憶。FM ACOUSTICSプリアンプ特有のハイにじゅわんとする倍音成分はFM266と同様。

今回のFM AcousticsFM255も前回同様の印象。同時セットでいろいろプリアンプを変更していく中でも、部屋の空気が一変する感覚を覚える事も一緒。特に今回はFM611パワーアンプとオールFM Acoustics製ケーブルでセットしているため、明快かつ有機的なサウンド。ゲインの高さも要因かもしれません。もし可能なら非売品としてスピーカーのデモで鳴らせば、どんなスピーカーでも売れそうです(笑)

唯一欠点を見つけるとするなら、音場感と言われる、3次元的な音響でしょうか。音楽によっては見通しが必要な場合がありますが、この点はもう少しセットアップやスピーカーレイアウト、室内のあしらえを追い込む事で変化するものと思います。店頭ですので1セットだけというわけにはいかないため難しい条件です。

音色やコード楽器が複数でユニゾンしていく際の描き分け&ハーモニーの表現は卓越したものがあります。中間色を描きそれを溶け合わせて聴かせる力やシンバルなどの叩き分けなどは明瞭かつダイナミックなサウンド。ボーカル音源の艶と伸びはAクラス回路が寄与しているのかもしれません。

私個人が選ぶ今年入荷したNo.1で”好きなプリ”はFM AcousticsのFM255やFM245です。たしかにMark Levinson LNP2Lも良い佇まいと歴史やサウンドですが、ある程度レストアしたLNP2LとFM255を同一システムで2週間だけですが聴き比べた場合において、FM 255の色彩や厚み、ダイナミズムは魅力あるものでした。何名かのお客様もほぼ同様のレビューでした。

Constellation audio VirgoとFM Acoustics FM255はどうか?Audio Dripper TOKYOや他店様での販売価格がすべてを物語っています。ハイエンドオーディオ機器を選ぶ場合、他人の判断ではなく自分の直感がすべてなので、どれを選んでも間違いではありません。私はコンテンポラリーJAZZやECMを聴くので迷うことなくFM255を選びます。ある方はNAGRA PL-Lを選び、Constellation audio Virgoを愛でる。十人十色だからおもしろいのです。

FM Acoustics FM255
FM Acoustics FM255

FM Acoustics FM 255 ¥3,402,000. 販売価格¥2,188,000. 動作保証1年

FM Acoustics FM611

Audiosound FM Acoustics FM611

FM Acousticsという魔物

FM Acoustics FM611
FM Acoustics FM611

今年、ある方の計らいでFM Acoustics Full Systemを聴く機会がありました。日本国内に2セット。そのシステムが売りに出るという・・・・定価2億4千万円。
プリアンプ1台で2千万、スピーカー1億円。価格が凄いのはブランド、Manuel Huber氏の自由なのですが、それ程でもなければ価格は下がるか、ブランドが亡くなるかのどちらか。

FM Acoustics製品全般では年々販売価格が上がる傾向があり、魔物がいます(笑)なぜ価格が上昇するか?スイスの物価上昇という面もあるでしょうし、設備投資や部品の大幅UPというのが一般的ですが、製品自体に格段にちがう部品や回路設計がされたとは限りません。ではなぜ価格が上がるか?

FM Acoustics full System
FM Acoustics full System

世界のハイエンドオーディオの中でのクオリティ相対(ポジション)×ニーズと考えます。あるブランドのフラグシップ機が仮に500万円だとするとFM Acousticsの製品はそれ以上のサウンドとバリューがあるとManuel Huber氏や代理店が読んだ場合は新たな価値設定を行い、世に問う。そこでセールスが良いと翌年世に問う。これを繰り返してきたから毎年若干高くなり、現代に至る。

と、考えると不思議義ではありません。趣味嗜好の際たるモノがハイエンドオーディオ機器なので適正価格はないマーケット。100万円以下のものにはある程度の指標があるでしょう。300万円を超えた製品あたりから、コスト&パフォーマンス以外に何かないと売れません、ましてや10年の期間価格上昇を続ける事は不可能です。

FM Acousticsの製品には何か、あると考えると悩みません(笑)

FM Acoustics FM611

下の写真はFM Acoustics FM611内部です。ガランとした中にEIコアトランスとオーディオボード、電源コンデンサー、出力トランジスタがリアに搭載されています。筐体は2重シールドが施されている感じの造り。現在ではこのトランスはFM811にしか搭載されていません。後継機のFM711やFM411他はトロイダルトランスです。

FM Acoustics FM611 内部
FM Acoustics FM611 内部

この造りと非常に良く似たパワーアンプが何かわかるでしょうか?

KRELL KSA100(EIコア)です。もしかするとEIコアトランスも同じかもしれません。電流を貯めるコンデンサーは有名なメーカー部品で同じです。制御系基板もごく一般的。クレルのトランジスタはヒートシンクが筐体内部にあり空冷ファンがまわります。ひじょうに良く似たタイプのアンプ。

FM Acousticsはプリアンプもパワーアンプもサウンドのキャラクターは似ています。個体差もあるのでしょうが共通項があり、サウンドの生命力は群抜いて魅力的で引き込まれます。位相特性がひじょうに良いので、音離れも良いでしょう。それは中低音からハイまで変わりません。音楽によっては複雑に重なる和音の分解能が高いのも特徴的。コード進行がわかる方にとってはたまらないアンプとなります。しかし、過去に入荷したFM266やFM255、FM245なども音色にキャラクターがあると感じました。FM611も同様です。ここが好きになるか嫌いになるかの分かれ目。ある程度の音楽体験やオーディオ製品を鳴らして来られた方には「わかる」サウンドである事も事実。

FM Acoustics FM611
FM Acoustics FM611

お金に糸目をつけないハイエンド・システムを組んでくれというオーダーがあったらアンプはFM AcousticsとOLD Mark Levinson、OLD KRELLの3セットを選ぶかもしれません。スピーカーはオーディオマシーナ、Hartsfield、EURODYNで、
天井高さ4mの木造軸組、もしくはコンクリートの箱に天然木の壁。おそらく、ある程度時間をかけて取り組めばいずれも心が震える、音楽の内側へ入り込める機械となるはずです。

FM Acoustics FM611は801のサウンドを彷彿としつつ、現行機FM611X(780万円)とFM811(1千万円)にかなり近似なサウンドスケープを聴かせてくれるものと思います。

FM Acoustics FM611 power amp
FM Acoustics FM611 power amp

FM Acoustics FM611 AXISS正規品 動作保証1年
【ご成約  ありがとうございました】

FM Acoustics FM611のインプレッション⇒